Top page > 木目金製造工程2
バーナーで熱してまずは拡散接合を施す。ポイントは1カ所だけ偏って温度が上がることがないよう、ジグも含めて全体を温める。茶、赤、オレンジと、高温になるにつれ明るい色へと変化する。オレンジ色の状態が拡散接合している最中のため、地金を溶かさずにオレンジ色の状態を長く保てば、『均等にまんべんなく』地金と地金が拡散接合していることなる。
厳密にいえば、拡散接合と地金が溶けて溶接されることは、物質的には同じことだが、ここではあえて分かりやすくするために『拡散接合』と『溶かして溶接』などを分けることにする。
拡散接合が充分進んだと判断したら、次は地金を『溶かして溶接』するという考え方で引き続き溶接作業を続ける。溶かして溶接するとは、地金が液体のように溶け始めている状態のことをここでは指す。液体のようにとけることによって、金属と金属の間に入ってしまったミクロの汚れやホコリ、または酸化皮膜が溶接部上に浮かび上がり、空隙や酸化物などの欠陥がなくなります。
これにより、先ほどのオレンジ色の状態でも付かなかった部分が接合される。但し、溶かし過ぎると色の異なる地金が混ざり合ったり、加工しにくい形になってしまったりするので、地金が溶け始めたら、バーナーの火を弱めて一旦温度を下げるなどの技を使う。
絶妙なタイミングで地金から火を離し、材料をおどかさないように徐々に冷ましていく。
バーナーの火力、火の当て方や距離などは地金の種類によっても異なるため、この部分はどれだけ木目金を作ったかという経験の差が出る。しっかりと作られた木目金は通常の金属よりも丈夫だが、下手な職人が作った木目金は溶接されているはずの板が後々剥がれてくるなどの最悪な出来上がりになるため充分に注意した方がよい。